「混沌を制す者(306)」パックは、《カオス・ソルジャー -開闢の使者-》《混沌帝龍 -終焉の使者-》のという2強が封入されたため、非常にメジャーなパックでした。その中には、それらの影に隠れてしまって面白い効果なのにもかかわらず、なかなか姿を見かけない不遇のウルトラレアカードが1枚あります。それが《速攻の黒い忍者》です。このデッキは《速攻の黒い忍者》を中心として闇属性を中心にモンスターを固めたデッキです。
自分の墓地の闇属性モンスター2体を除外する事で、このターンのエンドフェイズまでこのカードをゲームから除外する事ができる。この効果は相手ターンにも使用する事ができる。この効果は1ターンに1度しか使用できない。
《速攻の黒い忍者》の効果は非常に特殊な効果です。何故ならこのカードの効果は数少ない「誘発即時効果」で、「相手ターンにも使用できるスペルスピード2のモンスター効果」だからです。そのためこのモンスターの効果は自分・相手のカードの効果に対して、チェーンして発動する事が出来ます。これは、自分の《激流葬》で巻き込んでしまいそうな時や、相手の《強奪》で対象に指定された時などに役立ちます。それらの効果にチェーンして《速攻の黒い忍者》を一時的に除外すれば、そのカードの効果を「避ける」ことができますね。そのターンのエンドフェイズにすぐ戻ってきてくれるので、事実上そのカードの効果を無効化したと見る事が出来ます。つまり、《速攻の黒い忍者》は非常に除去されくく、頼りになるモンスターだといえるでしょう。
しかし《速攻の黒い忍者》の効果を発動するためにはコストが必要です。そのコストとは墓地の闇属性モンスターを2体除外すること。このコストを払えないときは、《速攻の黒い忍者》はただの攻撃力1700モンスターにすぎません。そのため《速攻の黒い忍者》を強力なモンスターに仕上げるためには、墓地に闇属性を常に用意していく事が必要になります。
そのコストとして代表的なのが《異次元の偵察機》です。
このカードがゲームから除外された場合、そのターンのエンドフェイズ時にこのカードを自分フィールド上に表側攻撃表示で特殊召喚する。
《速攻の黒い忍者》の効果には墓地からの闇属性の除外が必須です。そして《異次元の偵察機》は除外されることで特殊召喚される効果を持っています。つまりこの2枚を組み合わせると:
手順1、相手のターン中に《速攻の黒い忍者》の効果を発動。コストとして《異次元の偵察機》2体を除外→エンドフェイズに《速攻の黒い忍者》と同時に《異次元の偵察機》2体も場に特殊召喚
という流れが発生します。しかし《速攻の黒い忍者》の効果は墓地に闇属性がないといけないため、再び《異次元の偵察機》を墓地に送り込む必要があります。そこで《キャノン・ソルジャー》や上級モンスターを利用して《異次元の偵察機》を墓地に送り込みます。
手順2、場に特殊召喚した《異次元の偵察機》2体を自分のターンで生け贄などに利用し、墓地に送る。
こうすることで再び墓地に《異次元の偵察機》が2体用意できました。相手ターンには再び《速攻の黒い忍者》の効果が利用できる「手順1」の状態に戻りました。こうすると、何度でも《速攻の黒い忍者》の効果発動と生け贄の用意ができるようになります。
この《異次元の偵察機》の再生・墓地送りを繰り返すエンジンこそが《速攻の黒い忍者》デッキの肝。このコンボは普段は重くて使いにくい上級モンスターの生け贄を難なく用意したりなど、様々な用途に活用できます。
《速攻の黒い忍者》の効果発動中、《速攻の黒い忍者》は安全でもプレイヤー自身はモンスターが居なくなるため、危険に晒されることになります。そこでダイレクトアタックを受けていては、《速攻の黒い忍者》が戻ってきた時にプレイヤーが死んでいた…なんてこともありうるので、上手くフォローしていかなければなりません。簡単なのは《スケープ・ゴート》などの防御カードです。《速攻の黒い忍者》が場に戻るのは「召喚扱い」ではないので、「召喚・特殊召喚できない」制約を課す《スケープ・ゴート》を発動しても問題ありません。
他にはコストとして除外することを利用した《次元融合》や《異次元からの帰還》によるラッシュの要素です。「偵察機エンジン」の繰り返しだけでもかなりのダメージが与えられますが、思わぬ奇襲を狙える要素として、これらの除外ゾーンからの特殊召喚カードはとても強力です。
2000ライフポイントを払う。お互いに除外されたモンスターをそれぞれのフィールド上に可能な限り特殊召喚する。
ライフポイントを半分払う。ゲームから除外されている自分のモンスターを可能な限りフィールド上に特殊召喚する。このターンのエンドフェイズ時、このカードの効果によって特殊召喚されたモンスターを全てゲームから除外する。
逃げたり、戻ったり。巨大なモンスターがドカンと召喚されたり、一気にたくさん出てきたり。非常にモンスターの増減が激しく、めまぐるしく場を動きまわります。《忍者》ならではのトリッキーな戦術で相手を翻弄していきましょう。はじめのうちは扱い方が難しいデッキですが、一度覚えてしまうと病みつきになるデッキです。
まず墓地を除外して発動する効果のため、墓地の除外を禁止する《王家の眠る谷―ネクロバレー》や《霊滅術師カイクウ》には非常に弱いです。特に《霊滅術師カイクウ》は《速攻の黒い忍者》では攻撃力の面でも及ばないので、連続で召喚されてしまうと手も足も出ない可能性があります。《霊滅術師カイクウ》は《月の書》で裏守備にしたりして永続効果の解消を、《王家の眠る谷―ネクロバレー》は的確に伏せ除去を当てていくしかないでしょう。どちらも非常に辛い相手といえます。
このカードが相手に戦闘ダメージを与える度に、相手墓地から2枚までモンスターを除外する事ができる。またこのカードがフィールド上に存在する限り、相手は墓地のカードをゲームから除外する事はできない。
このカードがフィールド上に存在する限り、お互いのプレイヤーは墓地のカードに効果を及ぶ魔法・罠・効果モンスターの効果を無効にし、墓地のカードをゲームから除外する事もできない。またこのカードがフィールド上に存在する限り、フィールド上の「墓守の」という名のついたモンスターの攻撃力・守備力は500ポイントアップする。