遊戯王OCGでは「ライフポイントを0になる」他に「デッキ枚数が0になり、デッキからカードをドローできなくなった」時も敗北条件に指定されています。このデッキは相手のデッキ枚数を0してデュエルに勝利することを狙ったデッキです。一般的にデッキ枚数は様々な理由から、最低限の「40枚」が基本といわれています。それを逆に利用して勝利するという盲点を突いたデッキです。
デッキ破壊デッキはデッキ構築・プレイングのどちらもが、非常に難しいジャンルです。何故なら、デッキを削ったからといって形勢が有利になるわけではないからです。フィールド上のモンスターカードを破壊することはできませんし、手札を減らすこともできません(むしろデッキを削る手段として「ドロー」があるので、相手の手札を自分から増やしてしまうことも)。ライフを減らしているわけでもありません。デッキ破壊デッキは0にして初めて意味があり、それまでは常に相手よりも不利な状況で戦わなければなりません。
では具体的にどういった方法で相手のデッキの枚数を減らしていくのでしょうか。
効果で相手のデッキを減らす事ができるのは主にこの3種類です。他には「相手の攻撃をひたすら防ぎ、時間を稼ぐことでデッキ切れを狙う」という手もありますが、これはデッキ破壊デッキというよりは、ロックデッキに近い動きですので、今回は割愛します。
まず1番についてですが、これは「デッキを0にして勝つ」という目的の元では使いにくいです。戦闘ダメージによって発動する効果であるため、デッキを0にする前に相手のライフが0になってしまうケースがほとんどでしょう。相手のデッキは40枚デッキの場合でもはじめは35枚あるのですから、その中から1回につき1~2枚づつ減らしていったところで、ほとんど意味はありません。その間に《ヴァンパイア・ロード》の攻撃力ならば4回、《首領・ザルーグ》ならば5回ダイレクトアタックすればデュエルに勝利できてしまいます。
一度に相手のデッキを減らすときに効果があるのは、5枚以上をデッキから移動させたときです。これを4~5回使うことができれば相手のデッキは残り5~6枚になっているので、相手デッキを0にするゴールが見えてくるでしょう。そしてその方法としてあげられるのが2番と3番。うち、再利用が効きやすいのがリバース効果モンスターの《ポッド》系。そして大量のデッキ破壊がもっともやりやすいカードが《手札抹殺》です。よってこれらのカードが、デッキ破壊デッキを使うにあたってキーカードとなります。
リバース:フィールド上のモンスターを全て破壊する。お互いデッキの一番上からカードを5枚めくり、その中のレベル4以下のモンスターカードを全て表側攻撃表示または裏側守備表示でフィールド上に特殊召喚する。それ以外のカードは全て手札に加える。
リバース:お互いにフィールド上モンスターカードを持ち主のデッキに加えてシャッフルする。その後デッキに加えた数と同数のモンスターカードが出るまでお互いデッキの一番上からカードをめくり、レベル4以下のモンスターを裏側守備表示でフィールド上に特殊召喚する。それ以外のカードは全て墓地に捨てる。
リバース:相手と自分の手札を全て捨てる。その後、お互いはそれぞれ自分のデッキの上からカードを5枚ドローする。
お互いの手札を全て捨てた後、それぞれ自分のデッキから捨てた枚数分だけカードを引く。
デッキ破壊の動かし方は、上記の一言に尽きます。ひたすらに《ポッド》を、特に《サイバーポッド》を使い回せばいいのです。《メタモルポット》ではお互いの手札を5枚に仕切りなおしてしまうため、《手札抹殺》の威力を最大限に発揮できませんし《カオスポッド》では相手のデッキの並び順次第では大量のデッキ破壊が可能ですが、自分のカードを増やす事ができないので以後の手が止まってしまいがちです。
その点《サイバーポッド》はどちらの条件も満たしています。お互いの手札を減らさずに5枚のカードを場・手札に追加することが出来るカードは、自分の次なるデッキ破壊カードの供給と同時に相手のデッキを5枚づつ破壊することができる最高のデッキ破壊カードになります。「めくる」ので、「ドロー」ではないため、デッキ枚数が途中で0枚になってしまったとしても、敗北(勝利)にならないのもポイントです。
デッキ破壊デッキでは《サイバーポッド》をいかにして使いまわせるかが重要になります。そのために《太陽の書》や《月の書》、《硫酸のたまった落とし穴》や《浅すぎた墓穴》をバシバシ活用していきます。
そして《サイバーポッド》によって相手の手札を増やしたところで威力を発揮するのが《手札抹殺》です。相手の手札が多ければ多いほど強力なデッキ破壊カードになるので、《サイバーポッド》との相性は抜群です。しかし同時に自分の手札の枚数分自分もデッキからドローする必要があるので、場合によっては自分もデッキを切らしてしまう可能性があります。そこで役立つのが《連続魔法》です。
自分の通常魔法発動時に発動する事ができる。手札を全て墓地に捨てる。このカードの効果は、その通常魔法の効果と同じになる。
このカードを《手札抹殺》の発動にチェーン発動します。そうするとコストによって自分の手札が0枚になるので、ドローするのは相手だけになります。しかも《連続魔法》効果で、2回分の《手札抹殺》を放つ事が出来るようになります。このコンボによる威力はすさまじく、相手のデッキが40枚の場合、手札が14枚以上あればその時点で勝利が決定してしまうほどです。
今回紹介するデッキ破壊デッキはどちらかというと1ターンキルデッキのような動かし方をしなければなりませんが、流れるように決まっていく《ポッド》の再利用はパズルのようでな面白いです。
《手札抹殺》を手札からとめることの出来る《墓守の監視者》や《ヂェミナイ・デビル》、捨てられれば相手ターンを終了させられる《ネコマネキング》が対策となります。《手札抹殺》に限らず《メタモルポット》などにも発動できるからです。手札にあるだけで構わないので《ハリケーン》などにも強いのが長所です。
その対策法としては《サイバーポッド》のみを使う方法が挙げられます。要するに《サイバーポッド》を7回以上使えばいいのです。「そんなことムリだ」と考える人も多いでしょうが、構築が上手く出来ていれば実現は可能です。しかしそれでも《ネコマネキング》を場に出されてしまったときは手が止まってしまうことがあるでしょう。それら対策に対してはデッキ破壊デッキは対処は及びません。相手のデッキに投入されていないことを祈るのが一番のかもしれません。
あらゆる手段で《サイバーポッド》を墓地に落とし手札に戻し召喚し発動します。そのためのカードを豊富なドローカードでドローし、サポートしていきます。その結果自分のデッキが0になっても《サイバーポッド》で「めくって」いれば負けることはありません。
勝ち方は《手札抹殺》+《連続魔法》のコンボを、または《サイバーポッド》を7回以上回す方法の2つを用意しています。《現世と冥界の逆転》も勝ち方として有力ですが、相手の墓地のカードを減らす手段を用意する余裕が無いのでこのデッキでは効果が薄いでしょう。